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経済

日本郵便でまた「不祥事」

「トヨタ方式」導入で相次ぐ自殺者

2013年7月号

 六月二十日、安倍政権による人事介入によって、「日本郵政」の社長が坂篤郎氏から西室泰三・郵政民営化委員長に交代した。これに伴い、傘下の事業会社「日本郵便」の社長も、鍋倉眞一氏から高橋亨氏に代わる。  難しい舵取りを委ねられた西室氏は、就任会見で危機感を吐露した。二〇一五年に予定されている上場を「実現する体制は全くできていない。抜本的に体制を組み直さないと」「民営化が一歩も進んでいない」と言ってのけたのだ。昨年末、社長が齋藤次郎氏から坂氏に代わる際の会見で、齋藤社長(当時)が、「経営は順調で、株式上場も、既定路線の上で粛々と進めれば無事達成できる」と豪語していたことを全否定した格好だが、齋藤氏の自賛より西室発言の方がリアリティは高い。  だが、現場の実情は「進んでいない」どころの話ではない。本誌も何度か報じてきたように、JPエクスプレス(ペリカン便とゆうパックを一緒にするための会社)統合失敗による大赤字に端を発する非正規切りと下請け叩きで、郵便ネットワークが傷だらけになっているからである。  そればかりではない。本誌は新たに、日本郵便がひた隠す「さいたま新都心郵便局」で・・・