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地に墜ちた「アルジャジーラ」

今や中東騒乱の「諸悪の根源」に

2013年7月号

 カタールに新設された米系私立ノースウエスタン大学の最近の調査によると、中東・北アフリカにおける携帯型パソコンの普及率は、国民所得水準にほぼ比例した分布をしている。最富裕国カタールでは七九%の市民がスマホやタブレットを利用しているのに対し、エジプトでは七%、中進国と呼ばれるチュニジアでも二六%にとどまっている。  その一方、インターネットを含めた全情報媒体の中で、何に信頼を置いているかという設問では、「アラブの春」を起こしたチュニジアやエジプトでは、すべての情報源に対する信頼度が低いものの、その中ではテレビが飛びぬけて高い信頼度を示している。例えばエジプトでは、インターネットが信頼できるとした人は、新聞と同率の一七%に過ぎなかったが、テレビについては五九%もの人が信頼できると回答した。  この調査結果は、かなり現実に近い姿を映しているという印象だ。それだけに、アラブの春がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)によって引き起こされた、という「メディアの嘘」に反論するには好材料である。  三年前の二〇一〇年十二月、アラブの春の引き金を引くこととなるチュニジアの革・・・