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経済

「LNGバブル」に崩壊の兆し

ボロ儲けの今夏が「最後の宴」か

2013年8月号

 例年より二週間も早く、七月上旬には梅雨が明け、連日の猛暑が首都圏を襲う中、最大電力販売量の更新が続いている。電力各社は真夏の電力不足に備えて七月八日、五原子力発電所の計十基で再稼働申請を行ったが、原子力規制委員会の審査には半年以上の時間が必要であり、今夏の猛暑は液化天然ガス(LNG)火力発電をフル稼働して凌ぐしかない。  日本のLNG輸入量は、東日本大震災前には年間七千万トン程度であったものが、二〇一二年には同八千七百三十一万トン(財務省貿易統計)と、年間約二千万トンも増加し、一三年には過去最高の九千万トンを超えることは確実だ。さらに、日本同様にLNGへ大きく依存する韓国が原発トラブルによってLNGの買い漁りに走っており、一三年八月のLNG購入価格はさらなる上昇の気配を見せている。  こうしたアジア大洋州での空前のLNG価格高騰を受け、産ガス国、石油メジャーの間では、相次ぐLNGプラント建設計画が動き出しており、まさに「LNGバブル」の様相を呈している。だが、ここにきて野心的な中堅、新興勢力による参入の動きもみられ、市場環境はにわかに変化の兆しを見せ始めている。いまが絶頂・・・