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社会・文化

ミケランジェロ「素描」の味わい方

絵画作品以上に芸術的「発見」がある

2013年9月号

 今年に入ってから、ラファエッロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと、イタリア・ルネサンスの巨匠たちの展覧会が日本で続けざまに開催されている。優れた絵画作品も少なからず来日しているが、同時に見応えのある素描も数多く展示されている。しかしながら、実際のところ、素描を見る、あるいは素描を「読む」というのは決して容易ではない。審美的な観点からすると絵画作品の方がはるかに受け入れられやすいが、一方では素描には様々な情報が隠されている。それを読み解くとき、絵画作品以上に面白い発見が得られることがある。  小誌では以前から表紙にミケランジェロの素描を紹介してきたが、今回、素描の見方とともに、ミケランジェロのある一枚の素描から読み取ることのできる画家の意図を紹介してみたい。 才能の多様性を映し出す  そもそも、素描技法は絵画以上に多様で、またその目的も様々である。一瞬のアイデアを記録したもの、完成作を目指して試行錯誤の過程を見せてくれるもの、師匠の図案を模写したもの、あるいは優れた画家の図案帳として大切にされてきたものなどがある。古くは羊皮紙にインク、また紙そ・・・