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「戦えないアメリカ」鮮明に

予算削減による苛烈な軍縮

2013年10月号

 米軍が本格的な軍備縮小に入った。イラク、アフガニスタン両戦争からの撤退に加えて、バラク・オバマ大統領と共和党下院の対立により、巨額の予算強制削減が国防総省(ペンタゴン)を襲うことになった。軍事費削減は、陸軍や海兵隊を筆頭に十数万人規模の兵員削減を中心に進む見通しで、両戦争で露わになった地上での戦闘力の低下が、今後はいっそう深刻になる。  米国のオバマ政権はシリアの化学兵器問題をめぐって、「シリアを攻撃する」と明言しながら、最後はロシア仲介の外交決着に逃れるという失態を演じたが、これはほんの序章でしかない。今後の縮軍で、「戦えないアメリカ」はいよいよ鮮明になる情勢であり、オバマ政権の「アジア重視」は空念仏に終始しそうだ。安倍政権が頼みにする、同盟国アメリカの日本防衛は、物理的裏付けを失い、東アジア各国は有事戦略の大幅な見直しを迫られる。 パニックのオバマ政権と米軍  世界の耳目がシリアをめぐる外交努力に集まっていた九月十八日。米海兵隊のジェームズ・エイモス司令官は、連邦議会で全く別次元の戦いを強いられていた。下院軍事委員会の議員たちを前に、現在二・・・