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経済

「笑い物」JR東のタイ進出話

受注相手は悪名高き「前科持ち」

2013年12月号

 東日本旅客鉄道(JR東日本)が十一月初旬に「受注」したタイ・バンコクの都市鉄道システム供給及びメンテナンス事業。日本の鉄道事業者が海外で鉄道のメンテナンス事業を請け負うのは初めてとあって、国土交通省では太田昭宏大臣がタイのチャチャート運輸大臣にトップセールスを繰り返すほどの熱の入れようであった。安倍晋三政権が進める「成長戦略」の成果として手放しで今回の"受注成功"を喧伝している。  しかし、こうした華々しい動きとは裏腹に、JR東日本が「受注」したとする今回の契約を額面通りに受け止める声は、なぜかタイではほとんど聞かれない。それどころか、地元タイの日系企業や外資系メーカーからは「契約」の内容を訝しがる見方が日増しに高まっている。「あの事件の二の舞いになるのではないか」―。 十二年前の「契約破棄事件」  今回、JR東日本らが受注したとされるのは、建設が進むバンコク北部バンスーと北西部郊外のバンヤイを結ぶ全長約二十三キロの都市鉄道「パープルライン」。タイの運輸交通局が日本政府の円借款を活用して計画したものだ。JR東日本と丸紅、東芝の三社で作る共同事業体は・・・