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連載

不運の名選手たち 連載48

湯場 忠志(プロボクサー)国内五階級制覇という生き方
中村 計

2013年12月号


 強さ以上に、そのスマートさに惹かれた。
 湯場忠志が、史上初の六階級制覇を達成したプロボクサー、「ゴールデンボーイ」ことオスカー・デ・ラ・ホーヤの存在を知ったのは宮崎日本大学高校二年のときだった。
「昔からボクシングは好きだったんですけど、不良のやるスポーツだと思っていた。だから、自分はやんちゃでもないので無理だな、と。でもデ・ラ・ホーヤって、すごい紳士じゃないですか。こういう人でもできるんだと思ったら、急に視界が開けた感じがして」

 それから間もなくして近所のボクシングジムに通い始める。
「楽しくて仕方なかった」
 初めて打ち込める対象に出会った。高校を卒業し、二年目の一九九六年四月にプロデビュー。二戦目で黒星を喫したが、その年のスーパー・ライト級の新人王に輝き、日本ランキング入りを果たす。

 デビュー後、二年間は一撃必殺の左ストレートを武器にトントン拍子だった。しかし三年目に早くも壁にぶつかる。力のない地方ジム所属ゆえ、勝ってもタイトルマッチが組めなかった。また、そもそも日本では選手層・・・