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インド政界に現れた「台風の眼」

総選挙に向け躍進する「汚職撲滅党」

2014年1月号

 七億人を超える有権者を抱える「世界最大の民主主義国」インドが選挙の年を迎える。同国の選挙は「事前予想が絶対に当たらない」といわれる。野党インド人民党(BJP)の伸長と、与党国民会議派劣勢の流れは変わらないが、ここに「台風の眼」が現れた。   十二月八日に開票されたデリー首都圏議会選挙の結果は「インド政界に衝撃を与えた」(地元ジャーナリスト)。二〇一四年四月から五月にかけて予定されている総選挙の前哨戦に位置づけられたこの選挙で、BJPは予想通り第一党となったが獲得議席は三十一議席にとどまり、定数七十の過半数に届かなかった。一方国民会議派は八議席と大惨敗。代わりに第二党に躍り出たのは結党からわずか一年の「一般大衆党(AAP)」だ。同党は二十八議席を獲得してBJPに肉薄した。  十五年にわたってデリー首都圏首相を務めてきた国民会議派のシーラ・ディクシット氏は、ニューデリー選挙区でAAP党首の新人アルビンド・ケジリワル氏に敗北した。AAPの候補者擁立はデリー首都圏だけだったが、インドの心臓部で起こした「政変」の波紋は大きい。すでにインド国内ではケジリワル氏を次期首相候補の一人・・・