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中国人脈「皆殺し」の北朝鮮

張成沢処刑の真意と余波

2014年1月号


 北朝鮮から漢方薬の原材料や魚介類、鉄鉱石などを輸入する吉林省在住の中国人貿易商は二〇一三年十二月九日以降、北朝鮮側のビジネスパートナーたちと全く連絡が取れなくなった。すでに約百万元(約一千七百万円)の代金を北朝鮮側に支払っていたが、一カ月近く経っても「品物が用意できた」という連絡はない。中朝貿易に十年以上従事したこの貿易商にとって、初めての経験だという。

 貿易商は毎日、早朝から夜中まで北朝鮮側の知り合いに、手当たり次第電話をかけ続けている。しかし、携帯電話は全て電源が入っていない状態。固定電話もほとんど誰も出ない。たまに出る人がいても、すぐに切られてしまう。

 十二月九日は、北朝鮮の張成沢国防副委員長の失脚が発表された日だった。中朝貿易に関わる北朝鮮側の業者は皆、張成沢氏の影響下にある党・政府機関や国有企業の公務員だ。張氏失脚に巻き込まれた可能性が高い。十二月十二日以降、「北朝鮮の対中貿易関係者は百人以上が処刑された」との情報が中朝国境で出回っているが、北朝鮮側との連絡が絶たれた以上、確認を取るすべもない。

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