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連載

Book Reviewing Globe 355 

「忘れられた」中国の役割

2013年12月号

 日韓関係が、慰安婦にしても安重根にしても、歴史問題で軋めば軋むほど、中国と韓国が対日共同戦線を張る地政学の地肌が見えるようになってきた。

 中韓とも歴史の正しい側に立っていること、そして、道徳的高見から歴史の審判者として日本の歴史を裁く姿勢を強めつつある。

 北東アジアの地政学は歴史問題によって深い亀裂を刻みつつある。

 その中で、中国は対日関係が緊張するに従って、第二次世界大戦の"対日ファシスト戦争"時代の欧米諸国、なかでも米国との同盟関係を宣伝し始めている。

 あたかもそれを新たな歴史カードとして、開発しようとしているかのようである。

 そうした時、インド系英国人の歴史学者が執筆した『忘れられた同盟国』と題するこの本は、中国当局の宣伝戦には追い風となるだろう。

 中国は枢軸国の侵略に最初にさらされた国だった。

 パールハーバー攻撃までの四年間、中国は孤立状態のなかで日本と戦った。四百万人の国民党軍は、五十万人・・・