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WORLD

《世界のキーパーソン》プレーム・ティンスーラーノン(タイ枢密院議長)

反政府活動を操るタイ政界の「フィクサー」

2014年2月号

 タイのインラック首相は今年も一月一日を、バンコク都内にあるプレーム・ティンスーラーノン枢密院議長宅で迎えた。高まる反政府運動を背景に昨年末、下院の解散に踏み切ったインラック首相。一日はちょうど小選挙区の立候補受付最終日。反対派の妨害により候補者ゼロで終わる選挙区が二十八に上るという情報は彼女の耳にも届いていたであろう。強ばった表情には焦燥がありありと窺えた。

 一九九八年から枢密院の議長にあるのが、元陸軍司令官で元首相のプレーム。一九二〇年生まれの九十三歳だ。王制が存続するタイで、プミポン国王(八十六歳)に次ぐ高い「政治的権威」とされる。国王を元首とする民主政体を採るタイで、全ての王事について国王に提言できるのは憲法上も実質もプレームを頂点とする枢密院だけだ。全ての国権機関はその権威の下にあると言ってよい。最大で十八人の枢密顧問官の選定には憲法上、枢密院議長の副署が必要で、選任権そのものが国王にあっても自ずと人選は議長の息のかかった人物となりがち。事実、軍出身者や司法官僚、その他の高級官僚で大半が占められている。

 十五年以上、その職にある・・・