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北欧の知られざる民間債務危機

金融危機後の巨大バブル「第二波」

2014年2月号

「年末にはEU圏内の銀行は健全になっているだろう」  ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のダイセルブルーム議長は今年一月、こう述べた。オランダ財務相でもある同氏が同会合の議長に就任したのは昨年一月。議長就任にスペインは反対した。オランダは財政規律で厳しい意見を言ってきたからである。危機に揺れる南欧諸国に対してドイツよりも厳しいのがオランダであり、欧州秩序の中心が「北」に大きく傾いていることを同氏の就任は象徴するものだった。だが、同氏のお膝元であるオランダ、そして周辺の北欧諸国で異変が起きはじめた。「福祉の限界」「南欧危機の余波」「バブル第二波」によって、政策に打つ手はなく、北欧もまた崩壊の道を突き進んでいる。 「国民一人当たりの実質国内総生産(GDP)伸び率のトレンドも、経済発展度が同様に高い国に比べ、低い状態が続いている」として、格付け大手S&Pは昨年十一月、オランダを最上級格付けから格下げした。EU第五位の経済規模を誇る優等国オランダで煙が上がり始めた。この動きを読み解く鍵はこれより二カ月前にある。 負の連鎖に入ったオランダ 「二・・・