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米国に「食糧依存」する中国

農民「斬り捨て」で始まる大混乱

2014年2月号

「習近平は農民を売って、米国から穀物を買った」
 中国で密かにこうしたささやきが広がっている。新聞にも、雑誌にも、ネットにも載らない、実情を知る人のみの情報だが、これだけでは意味を推測するのも難しい。まず、認識すべきは習主席が政策面では「市場経済の申し子」のような方向に走り始めていることだ。就任以来、公務員に贅沢禁止令を出し、北京の肉まん屋に数人でふらりと現れて食事をするなど、庶民とともに歩む姿を売り物にする習主席だが、実態は異なる。とりわけ農業、食糧政策は中国の歴史に残る大きな転換に踏み切ろうとしている。



指導部による史上空前の売国行為

 昨年十一月に開催された中国共産党第十八期中央委員会第三回全体会議。「三中全会」と略されるこの会議は、数ある中国指導部の会議でも注目された。新体制が発足してから初の「三中全会」は歴史に残るような重要な決定が下されることがあるからだ。鄧小平氏が三度目の復活を果たした直後の一九七八年の第十一期三中全会では「改革開放」政策が宣言され、江沢民体制になってから初の九三年・・・