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政治

《土着権力の研究》 山形県 遠藤利明(自民党山形県連会長)

ポスト「山形のドン」最右翼

2014年2月号

 かつてこの地には、「山形のドン」「服部天皇」などの呼称を持つ地元の絶対的な権力者がいた。服部敬雄―地元紙・山形新聞だけでなく、県下の民放局、山形放送と山形テレビをも実質的に支配し、山形交通(現・山交バス)などの「山新・山交グループ」の役員も歴任。批判者を徹底的に干し上げる独裁者として、地元政財界に絶大な影響力を及ぼしてきた人物だ。当時の板垣清一郎・山形県知事も金澤忠雄・山形市長も服部天皇の半ば下僕と化していたため、関係者の間では「服部知事、岡崎(恭一山形新聞元会長)総務部長、板垣総務部次長、金澤庶務課長」と呼ばれたほどだ。

 地元山形で長く服部氏の取材を重ね、その政治手法を批判し続けた放送作家の相澤嘉久治氏はこう話す。「服部氏は、田中角栄元首相が挨拶に来るほどの人脈を持っていた。ただ、『独裁的権力者が君臨した後にはぺんぺん草しか生えない』と言われるように、山形では二十年以上にわたって服部天皇に比べてはるかに劣る小物が競い合う状況が続いていた」。

 しかし、一九九一年の服部氏の死から二十年余、「ミニ服部天皇」(地元関係者)とも呼べる人物が、こ・・・