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連載

皇室の風 66

天井桟敷から見た宮殿
岩井 克己

2014年2月号


宮殿行事の取材では、記者たちは宮内庁庁舎から渡り廊下で宮殿地下に潜り込み、迷路のように入り組んだ薄暗い通路を空調配管に頭をぶつけそうになりながら延々と歩く。正殿松の間や長和殿春秋の間では天井近くののぞき窓からひしめき合ってのぞく。どぶねずみが床下を走り裏階段をのぼって天井桟敷へとたどり着くようなものである。

 二十数年間にわたり何百回となく通ったけれど、宮殿の美しさには飽きることはなかった。皇室記者の役得のひとつである。

 イギリス、ベルギー、デンマークなど欧州の王宮、サウジアラビア、オマーンなど中東の宮殿、バチカン、米ホワイトハウス、紫禁城なども見る機会があった。日本の宮殿は壮大さや豪華さで遠く及ばぬものも多い。しかし、簡明な美と安らぎを醸す独特の華やぎの空間として世界に比類ないものだと思う。

 天皇の傘寿を記念し初めて一般の参観に供されるという。五月二十四、二十五日の両日で三百人、十月に三百人の計六百人。二月中旬から希望を受け付けるが、高倍率の抽選となりそうだ。

 戦災で焼け落ちた明・・・