三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

亡国の安倍「媚ロシア外交」

世界の失笑買う北方領土返還「妄想」

2014年4月号

 日本政府の対応は、いかにも及び腰だった。ロシアによるウクライナ領クリミアの編入問題である。その最大の要因は、総理大臣再登板から一年余りで、ロシア大統領ウラジミール・プーチンと五回も会談した安倍晋三の成算なき北方領土返還への夢想である。  最初に及び腰ぶりが露呈したのは、ロシア連邦院がウクライナ領内でのロシア軍の行動を認めた決議(三月一日)への反応だ。外務大臣の岸田文雄が二日に発表した声明は「深刻な懸念と憂慮」を示すだけで、三日付の日本を含むG7の声明がロシアに対する明確な「非難(condemn)」と、六月にロシア・ソチで開かれる予定だったG8サミットの準備作業の凍結を宣言したのとは対照的だった。 「三莵」を追うもの  同じロシアの動きに同じ日本政府が絡んだ二つの声明の落差は何を意味するのか。三月四日の記者会見で問われた岸田は「G7声明も、当事者に自制と責任ある行動を求める我が国のスタンスは盛り込まれている」と強調した。「当事者」には「ロシアだけを非難しているのではない」というプーチンへの配慮とも言い訳ともつかない含意がある。その文言を入れることに日・・・