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経済

電力業界を襲う「ロシアリスク」

夏の需要期にLNG高騰の危機再来

2014年4月号

 ソチ冬季オリンピックの閉幕をはかったかのように、ロシアがウクライナの南部クリミア半島への軍事介入を強め、クリミア自治共和国のロシア編入を強行した。こうした冷戦時代のようなロシアの動きに、米国や欧州連合(EU)は反発を強め、経済制裁強化に動いている。ロシアの強硬姿勢からは事態の短期終結など到底望めそうもない中、仮に今後、原油、天然ガスなど資源の禁輸措置へと経済制裁の段階が進めば、その余波をもっとも強く受けるのは、ほかならぬわが日本である。 数字以上に重要なロシア産LNG  現在、保有する五十四基すべての原子力発電所が稼働を停止しているわが国は、再稼働への審査も遅れに遅れ、二〇一四年夏も九州電力川内原発だけが再稼働できるかどうかという綱渡りの状態だ。一三年夏の猛暑、一四年冬の厳冬も停電を起こさずに乗り切れた背景には、液化天然ガス(LNG)火力をはじめとした火力発電のフル稼働があるのは言うまでもない。日本の一三年におけるLNG輸入量は八千七百四十九万トンと過去最高に達し、輸入額は約七兆円と東日本大震災前(約三・五兆円)の二倍に膨らんでいる。石油と石炭を含めた輸入額・・・