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政治

《土着権力の研究》岐阜県 猫田 孝(県議会議員)

知事をも凌ぐ県下最強の権力者

2014年4月号

 岐阜県では十年ほど前、全国知事会会長に就任して「国と闘う知事会」を掲げた梶原拓・岐阜県知事が絶大な力を誇っていた。旧建設省出身ながら、中央に対して「日本の政治は一部の東京の有識者に振り回されている」と喧嘩を売る一方、県内では批判的なメディアに圧力をかけるなど、絶対的な権力者として振る舞った。

 しかし、その梶原知事に後継者指名をされた経済産業省OBの古田肇・現知事(二〇〇五年~)は前任の“剛腕知事”とは違い、一人の長老県議会議員に屈服を余儀なくされている。その県議とは、実に十一期三十九年の長きにわたって県議の座に就く猫田孝氏である。いまや知事を凌ぐ県下最強の土着権力として君臨している人物だ。

 一四年度第一回県議会初日の二月二十五日、古田知事の所信表明演説が始まった。その時、本会議場の最後列に座っていた猫田氏は、机上に資料さえ置かずに、長い時間、目をつぶったまま。知事の政策にはまるで関心がないことを、身をもって物語っていたかのような姿であった。県議会関係者はこう話す。「猫田県議が政策や理念について語っているのを見た記・・・