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連載

西風 395

橋下民営化ビジネスの躓き

2014年4月号

「橋下が当選したところで維新の勢いは回復しない。OTK売却も意味がなくなるだろう」

 全国紙在阪記者はこう語った。史上最低の投票率に終わった大阪市長選挙。橋下徹市長が「空回り」(自民党府議)する陰で、盟友である松井一郎知事は、泉北高速鉄道などを運営する第三セクターの「大阪府都市開発(OTK)」の株式を南海電気鉄道に随意契約で売却する方針を決めた。

 OTK売却は橋下市長が府知事時代に打ち出した計画だ。昨年入札が行われ、十一月には七百八十一億円の最高額をつけた米投資ファンド「ローン・スター(LS)」への売却が決定した。

 しかし、OTK売却の条件として付けられた南海電鉄との乗り継ぎ運賃値下げについて、LS案では十円にとどまった。一方、七百二十億円で応札した南海は八十円値下げする計画だった。このため、沿線住民、自治体から反対の声が上がり、維新府議の造反もありLSへの売却が府議会で否決され暗礁に乗り上げた経緯については詳述しない。

「LS案が否決された後、府は水面下で南海と交渉。売却額を三十億円上積みさせ・・・