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経済

金融庁が 信金「再編」で大ナタ

不正取引「検査」と業界の苦境に乗じて

2014年5月号

 信用金庫業界が再編のうねりに直面しそうだ。豪腕で知られる金融庁の畑中龍太郎長官が地方銀行各行に対して一月中旬、合併など業界再編を強く促したことは本誌既報の通りだが、そのプレッシャーはさらに小規模の地域金融の領域にまで及んでいる。むしろ、経営内容の実情からすれば、こちらのほうが「待ったなし」と言っても過言ではない。再編の時限爆弾は刻一刻と時を刻み続けている。 大手信金の不祥事が端緒か  信金業界関係者がその動静について固唾をのんで見守っている信金がある。東京都内の大手信金、多摩信用金庫である。下位の地銀並みの資産規模を有する業界きっての大手信金に、同業界の視線が集まっている理由はなにか。それは金融庁・関東財務局が着手した同信金への検査と深く関わっている。ある都内の信金幹部はこう説明する。 「多摩信金には近年、いかがわしい噂が流れ続けている」  結論を急ぐと、経営層と反社会的勢力との癒着が由々しい事態にまで発展していることが具体的な情報として外部に伝わってきているというのだ。反社会的勢力との単純な取引ですら厳しく問題視されるなかで、迂回融資まで駆使し・・・