三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

内閣法制局は官邸に「物申す」か

集団的自衛権で注目の「新長官」登場

2014年6月号

「新長官はまさに適材適所の人材だと思っているので、政府としてはまったく心配していない」  官房長官の菅義偉は、五月十六日の記者会見でこう答えた。内閣法制局長官の交代について記者からの質問に答えたものだが、なぜ菅はわざわざ「心配」を否定しなければならなかったのか。全国紙政治部記者が語る。 「新長官の横畠裕介は、政府の進める集団的自衛権行使容認に本音では反対している。それでも横畠を据えなければならなかったのは官邸の苦渋の決断だった」  安倍官邸と二人三脚で集団的自衛権実現に向けて歩んできた前法制局長官の小松一郎だが、抗癌剤治療を受けながら執務するには無理があった。後任の横畠は、法制局の中枢を歩んできた人物。本来であればとっくに長官になっていてもおかしくなかったが、官邸の横やりで辛酸を舐めた。今回の人事の背景には、実は官邸と官僚の駆け引きのほか、霞が関内部での官僚同士の暗闘も存在する。安倍政権が、悲願の集団的自衛権行使容認を巡って躓きかねない事態に陥っている。 「前科二犯」の新長官  憲法解釈について内閣に助言する権限しか持ち合わせていない法制局が・・・