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経済

《クローズ・アップ》室町正志(東芝次期会長)

深刻な内部対立が生んだ「異例人事」

2014年6月号

「まるで子供のケンカかと思った……」

 ある東芝関係者が漏らした言葉だ。昨年二月、当時の佐々木則夫社長(現副会長)が退き、代わって田中久雄氏が新たに社長に就く、その就任会見をめぐってのことだった。西田厚聰会長は、新社長に必要な条件として、①様々な事業を経験していること、②グローバルな人材であることを挙げたうえで、田中新社長に「東芝をもう一度、成長軌道に乗せてほしい」と言葉をかけることで、会見に同席していた佐々木氏を公の場で批判してみせた。これに対し佐々木氏も、会見後の囲み会見で「文句を言われる筋合いはない」と言い返す一幕があった。これを機に、積極的な攻めの経営で成長を目指す西田氏と、半導体のような変動性の高いビジネスに一貫して否定的な佐々木氏による確執は半ば公然となったことは記憶に新しい。

 その確執はいまだに尾を引いているばかりか、さらに深刻の度を深めているようだ。東芝が去る五月八日に発表した新会長人事―。西田会長が相談役に退き、新たに室町正志取締役が六月二十五日付で会長に就任する。社長経験のない室町氏の会長就任・・・