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経済

りそな銀行に「再編観測」が浮上

金融庁「広域地銀構想」に現実味

2014年7月号

 金融再編のマグマが再び動き始めているようだ。背景にあるのは、言うまでもなく金融庁の強い意向である。金融庁は年明け以降、一部の幹部らが地方銀行各行を訪ねる全国行脚を重ねるなど、地銀統合などの必要性を執拗に説き続けてきたのは周知の通り。人口減少など厳しい経営環境に加え、将来的な長期金利の上昇を見据え、国債依存度が高い地銀の経営基盤を強化することが狙いだ。  もっとも、金融庁による見えない圧力に怯えてきた地銀各行も抵抗を見せる。安倍晋三政権による「成長戦略」のたたき台とも言える自民党による「日本再生ビジョン」の中に盛り込まれていた地銀再編の項目が六月、政府の「産業競争力会議」がまとめた成長戦略の素案から抜け落ちたのだ。定例記者会見の場でこの変化について問われた麻生太郎・財務大臣兼金融担当大臣は明言を避けながらも銀行に対する不満をぶちまけたが、この動きについてある大手銀行幹部は、「地銀業界が必死にロビー活動を展開し、再編話の火消しに動いた」と指摘する。  だが、成長戦略から地銀再編が消えたとしても、地銀各行が置かれた状況が変わることはなく、もはや、再編の時計の針は着実に回り出して・・・