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アジアでも火を噴く「イスラム聖戦」

中国「ウイグル弾圧」が引き金に

2014年8月号

 アジアに新たなイスラムの脅威が広がり始めた。引き金を引いたのはウイグル族への徹底弾圧に乗り出した中国の習近平政権だ。分離独立運動を潰し、新疆ウイグルの資源を確保する目的だが、中東のイスラム過激派とウイグル族を結びつける事態を招き、泥沼のテロに巻き込まれつつある。一時、勢いを失っていたインドネシア、フィリピンのイスラム過激派はシリア、イラクの内戦、混乱に舞台を得て再活性化し、アジアで新しい活動に動く気配もある。アジアは高度経済成長の熱狂の中で封じ込めてきたイスラムの本格的な台頭に、これから悩まされる恐れが強い。 習近平が怯える「ジハード宣言」  連日のようにウイグル族と中国の公安、武装警察との衝突が起きる新疆ウイグル自治区。中国政府の情報遮断で、断片的にしか海外には伝わって来ないが、情勢は悪化の一途をたどっている。  四月末、視察先の新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、テロに危うく遭遇しかけた習近平国家主席は間髪を入れず「テロとの戦い」を宣言した。米国の「9・11」同時多発テロに衝撃を受けたブッシュ大統領(当時)が発した言葉を彷彿とさせるが、その・・・