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政治

「消費税一〇%」安倍はやらない

財政健全化はまた「先送り」に

2014年8月号

「七―九月期の国内総生産(GDP)速報値が十一月十七日に出る。十二月一日に七―九月期の法人企業統計が出る。各方面の英知を集めて判断材料をそろえて、最終的に安倍晋三首相が判断する」  甘利明経済再生担当相は七月二十三日、東京都内での講演でこう述べた。来年十月に予定通り消費税率を現在の八%から一〇%に引き上げるかどうかは、安倍首相が十二月初めにも決めるとの見通しを示したものだ。  これに先立ち、麻生太郎財務相も七月十五日の記者会見で消費税上げに関してこう語っていた。 「七―九月期のGDPなどの経済指標で決める。今年中に増税を決めておかないと、(景気)対策ができない」  実は安倍首相自身、周囲に「一〇%に上げるかどうかは七―九月期の経済指標を見て決める」と話しており、この点は安倍政権のコンセンサスとなっているようだ。  それでは実際のところ、安倍首相の本心はどこにあるのか。最終判断は十二月だとしても、どうしたいのか方向性はすでに定まっているのではないか。 「たった二年で計五%も消費税を上げた国なんてないよ」  安倍首相は周囲にこう漏らしている。つまり・・・