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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》「叙勲制度」の舞台裏

勲章による「人間格付け」の決まり方

2014年10月号

 十月に入ると、東京・永田町にある内閣府の建物の一角は俄かに騒がしくなる。内閣府賞勲局―。栄典に関する調査、研究業務などを行いながら、最大の仕事は叙勲の事務作業だ。

 この時期になると十一月三日、文化の日に発表される秋の叙勲の受章者リスト作りが大詰めを迎える。候補者への事前の打診や、各省庁との最終確認などに職員は忙殺される。

 毎年春と秋の二回行われる叙勲では、合わせて八千人前後の受章者が誕生する。受章者は一体どのようにして決められるのか。選考や勲章のランク付けは、国民の知らぬところで利権化され、舞台裏では勲章を巡って、様々な輩が蠢いているのだ。


「老境に差し掛かると突然欲しくなる」


 叙勲は憲法で定められた天皇の国事行為だ。最上位は大勲位菊花章と桐花大綬章。前者は総理大臣経験者が没後に、後者は総理大臣や衆参両院議長などに生前授与されるが、滅多に出るものではないことくらいはご存じだろう。一般的なものは旭日章と瑞宝章で、前者は政界、財界の民間人に与えられる。後者は・・・