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経済

シティバンク「事業売却」の裏事情

報道が伝えない「不良案件」の実態

2014年10月号

 あのシティバンクが日本撤退―。このニュースが流れたのは八月下旬のこと。正確には、シティバンク日本法人がシティバンク銀行の個人金融部門を売却するという話である。その報道内容の通り、すでにシティバンクは九月十二日には売却のための第一次入札を実施し、応札した三メガバンクなど六銀行のうち、四銀行を第二次入札候補として絞り込んだという「ホット」な情報も流れている。シティバンクと言えば、世界中に営業拠点を持つ代表的なグローバル銀行であり、世界ナンバーワンバンクの評価をほしいままにしてきた歴史がある。したがって、その日本撤退に衝撃が走ってもおかしくはない。現に、主要メディアはこぞって、「買い手殺到」というニュアンスの記事で持て囃す。だが、実像は、そうした報道内容とは著しくかけ離れている。  たとえば、ある大手銀行幹部は「買収するだけの価値がどこにあるのか」と冷たい視線を投げかけ、それでも、入札に参加するということについて、「儀礼的なものにすぎない」とすら言い捨てている。この報道内容と実態の温度差はどこから生じているのか。 「貴重な買い物」は勘違い  その前に、話題の・・・