三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

イスラム過激思想はなぜ広まるか

若者たちを洗脳する「教典」の中身

2014年11月号

「イスラム国」への爆撃作戦を実施している有志連合に参加しているカナダで、銃乱射や兵士を車両で轢き殺すといったテロが発生した。容疑者は「イスラム国」がソーシャル・ネットワークを通じて流す宣伝に強く影響を受けていた可能性が高い。「(有志連合参加国の)不信心者どもを殺すことをためらってはならない。これはイスラム教徒の義務だ」という檄文が世界中を駆け巡っている。それは、米国がシリアの「イスラム国」拠点へ空爆範囲を拡大した九月下旬からより顕著になっているという。「目には目を」の格言が脳裏をよぎる。  オバマ大統領は「米国は単独ではない。多くの友邦が協力している」とこの攻撃の大義を強調していた。人類共通の敵ともいうべきこの狂信的過激主義勢力を駆逐する上で、サウジアラビアをはじめとするアラブ・イスラム諸国が有志連合に参加していることは明るい材料だ。イラク戦争の時も、また、それ以前に開始され、二〇一一年に漸く終止符が打たれたアルカーイダの首領・ビンラディンを標的とする「戦争」でもこれらの国々の協力は得られていなかったのだ。今では世界は、ほぼ一致して米国の軍事作戦を支持している。  にもかか・・・