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経済

日本国債は「まだ」暴落しない

悪夢はいつまで先送りできるか

2014年12月号

 日本国債への「不信任」の動きが、すでに始まっている。十一月下旬にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、日本国債のプレミアムが急上昇。ドル建て五年の保証料率で、直近の一カ月で十五ベーシスポイント上昇した。買い手は言うまでもなく米系ヘッジファンドである。  理由はもちろん消費増税延期。巨大な債務を抱える日本が、長期金利が低位に収まっているのは増税余力があるからで、増税延期は財政再建への懸念を強める。  言うまでもなく、CDSは債務不履行した場合の保険料で、高い場合は市場が危険とみなしていることを示す。二〇一〇年の欧州債務危機のときには、ギリシャのCDSは一千ベーシスポイント以上に上昇した。  ただ、日本のCDSはまだ六十ベーシスポイントに届いたところ。今年二月以来の高水準だが、東日本大震災後の一一年十月につけた百五十九ベーシスポイントの四割程度にすぎない。  また、日本国債のレートもCDSとは逆に低下している。消費税再増税延期のニュースが出た十一月十二日には〇・五二〇%に上昇したが、その後は〇・四六五%。現時点でのヘッジファンドの仕掛けは、少なくとも序・・・