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《世界のキーパーソン》トム・コットン(米国次期上院議員)

米保守派期待の若き「イラク帰還兵」

2014年12月号

 オバマ政権はチャック・ヘーゲル国防長官の辞任で、安全保障・外交政策の失敗がいよいよ泥沼化している。一方の共和党には、「保守派のスーパースター」との呼び声が高い、三十代のタカ派論客が出現した。中間選挙のアーカンソー州の上院選で、民主党の現職に大勝したコットンである。

 身長一メートル九十センチ超。ガリガリにやせ、物静かなたたずまい。一九七七年生まれの三十七歳は、まだ選挙に慣れていない。二〇一二年に連邦下院に初当選し、今回が生涯二度目の選挙戦だった。「もっと笑ったほうがいい」と、有権者からは注文がついた。

 天性の愛嬌で州民を魅了したビル・クリントン元大統領の故郷ホープより、さらに小さな、人口四千人の町、ダーダネル生まれ。早くから学業とバスケットボールに優れ、ハーバード大に進んで周囲を仰天させた。南部の農村からの同大入学は極めてまれだからだ。刻苦勉励の典型で、二十歳の頃には確固たる保守主義者となり、大衆迎合主義(ポピュリズム)や福祉国家に強い疑念を抱いた。『ウィークリー・スタンダード』誌のウィリアム・クリストル編集長ら、保守思想家のもとに出入り・・・