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中国権力闘争「今年の見所」

李克強「一期で退任」の観測も

2015年1月号

 中国経済が成長のピークを過ぎて長い下り坂に入った。三月開催予定の全国人民代表大会(全人代)で発表される今年の成長目標は七%、それも努力目標になるのではないかとささやかれている。 「中国の夢」という華々しいスローガンを掲げて登場した習近平国家主席だったが、やっと一期目の任期半ばになったところで、夢から覚めてきた。就任以来、独裁体制を築いてきたが、まだ党内の権力基盤を固めきっていない。いま、高度成長の夢が破れれば、批判は習近平に集中するだろう。  そこで、習近平は先手を打ち、昨年末の中央経済工作会議で「新常態」と言い出した。新常態とは「ニューノーマル」という経済用語を中国流に都合よく解釈した概念だ。本来、ニューノーマルはリーマン・ショック後の世界経済では、従来の常識は通用しないとの見方を示したものだが、中国では「もう今までのような成長は続かない」との心構えを指す。  習近平が中央経済工作会議で打ち出した新常態は、中国政府の新たな経済運営指針となった。新常態の中国では、もはや成長は政治的実績とみなされない。土地転がしや不動産開発で成長率引き上げに狂奔してきた地方官僚に向け・・・