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政治

《土着権力の研究》兵庫県 無量壽寺

得体の知れない金満宗教法人

2015年1月号

 オウム真理教や幸福の科学など、傍目には怪しげでしかない新興宗教は山ほどある。その中でもとりわけ「得体が知れない教団」(全国紙在阪記者)といわれるのが、「念佛宗 三寶山 無量壽寺」だ。そもそも京都府で宗教法人として立ち上がったこの教団が、最終的に本拠地として「総本山」を建てたのが兵庫県だった。

 二〇〇八年八月、主要全国紙と一部地方紙に四面にわたる無量壽寺の総本山完成を祝う広告が掲載された。奇妙なことに広告主は建設を請け負った大林組と大成建設というスーパーゼネコン二社だった。「五百億円以上」(前出記者)といわれる建設費をかけた総本山は、とにかくスケールの大きさに度肝を抜かれる。

 総本山は神戸から北へ約三十キロ、東条湖近くの加東市山中に忽然と現れる。四十五万坪、甲子園球場が四十個近く収まる敷地に立つ建物は寸法を間違えたのではないかと思うほど巨大だ。山門、本堂、釈迦堂の高さはそれぞれ三十五・六メートル、五十一・五メートル、三十一・三メートル。奈良の大仏殿の高さが三十七メートルだから、本堂の大きさは想像がつくだろう。敷地内にある高さ十二メートルの・・・