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WORLD

「テロとの戦い」無限の泥沼へ

世界で膨張する「憎悪と暴力」

2015年2月号特別リポート

 遠い中東での国際テロではなくなってきた。「イスラム国」は情け容赦なく日本を巻き込んだ。それにしても日本の認識は欧米に比べて次元が低すぎる。テロリストの機嫌を損じないように、との言論があまりにも多すぎるのだ。周辺諸国を刺激しないようにと配慮してきた戦後外交と無関係ではあるまい。9・11同時多発テロで一躍存在感を高めたアルカーイダの地位は下がり、過激派組織の数は増えた。とりわけ、「イスラム国」の出現以降のテロリストの動向はきわめて複雑になっている。

 イスラム国には西側諸国から思想的に共鳴して参加した者が多数いるが、帰国者も増え、何気ない顔をして自国でテロの準備を進める「休眠細胞」もいるだろう。潜在しているテロリストの動向を関係各国の治安当局はどう把握するか。十四年前に比べて飛躍的に重要性を増しているのがインターネットである。テロとの戦いは無限の泥沼になっていくのではないか。加えて、反移民、EU(欧州連合)脱退、ナショナリズムを唱えている欧州諸国の右翼勢力はいっせいに活気づいてきた。国際政治の中で目立たない存在だった欧州は意外な危険性を秘めている。
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