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経済

「横領天国」 みずほのモラル崩壊

顧客預金「騙し取り」が止まらない

2015年2月号

 もはや「禊ぎ」は済ませた、とでもいうつもりか。みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長兼CEOが、この四月から平野信行氏(三菱東京UFJ銀行頭取)の後を受けて全国銀行協会会長に就任する。全銀協会長ポストは原則、三メガバンクトップの持ち回り。平野氏の前任が國部毅・三井住友銀行頭取だったから「順番」といえばそれまでだが、佐藤氏は二〇一三年秋に発覚した暴力団など反社会的勢力に対する融資事件に関する当事者の一人と言えなくもない。問題融資が取締役会などに報告、それも複数回にわたって提出されていたにもかかわらず見過ごすという、「より高い公益性・公共性が問われる巨大金融機関のトップとしてあってはならないような致命的ミスを重ねている」(金融筋)からだ。  あれからまだ一年半足らず。昨年六月下旬の定時株主総会後の委員会設置会社への移行を経て、みずほの企業統治改革がひとまず緒に就いてからだと一年にすら満たない。なのに、銀行界を代表する全銀協会長の大役を担う。しかも一二年度に続いての二度目の登板というのだから恐れ入る。これを「厚顔無恥」(大手地銀幹部)と言わずして何と言おう。 「まだ氷山の一角」との疑念・・・