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政治

「シルバー民主主義」が国を滅ぼす

井堀 利宏(東京大学大学院 経済学研究科教授)

2015年2月号

 ―高齢者層が政治を左右する「シルバー民主主義」が問題になっています。

 井堀 若い世代が選挙に行かないことは、昨年末の衆院選を見るまでもなく明らかだ。また、一票の格差の問題を見ても、重点的に議席が配分されている地方部では一般に高齢化が進んでいるため、より高齢者の意向が反映される。少子高齢化が進むほとんどの先進国で似たような現象はあるが、日本は移民も受け入れていないため、傾向が顕著であり、しかも今後二十年はこうした状況が続いていく。高齢者層に政治が壟断されると、たとえば日本の喫緊の課題である財政や年金・社会保障の問題は解決しづらい。


 ―具体的にどのような障害が出ますか。

 井堀 政府は二〇一七年から、年金の支給額を引き下げることを可能にするマクロ経済スライド方式適用を決めている。しかし実際にその時に政府が実行に移せるかは疑問だ。過去の例を見ても、時の政権は高齢者へ配慮するこ・・・