三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

銀行がシャープを見捨てる日

主力二行で支援継続に「慎重論」

2015年3月号

「まるで真珠湾攻撃だ!」。シャープの最終赤字再転落の可能性が報じられた今年一月下旬。主力行の一翼を担う三菱東京UFJ銀行(BTMU)の融資担当者はこう呻いて、シャープ首脳陣への怒りを露わにした。中国のスマートフォンメーカー、小米科技(シャオミ)向けの中小型液晶パネルの出荷が昨年十一月以降、落ち込んでいることは伝えられていたが、シャープ関係者からは「一時的な在庫・需給調整。すぐ回復する」との説明を受けていたからだ。  しかも昨年十月に行われた二〇一四年度上期(四~九月)の決算説明会では、二百九十二億円の営業黒字、四十七億円の最終黒字を確保したことなどを挙げ、髙橋興三社長自ら「亀山第二工場では中小型パネルの比率が五〇%を超え、収益に大きく貢献している」として胸を張ったばかり。それが突如、暗転するというのである。 「事前にまったくと言っていいほど報告や相談らしきものがなかった。一体この会社はどうなっていて、首脳陣は何をやっているのか」。もう一つの主力行、みずほ銀行(BK)の担当者もこみ上げてくるシャープへの強い憤りを隠さない。 「財務制限条項」発動の強硬論 ・・・