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経済

中部電力「社内抗争」の内幕

社長派vs会長派の虚しき「泥仕合」

2015年3月号

 日本列島が強い寒波に見舞われた二月九日、東京と名古屋を舞台にあるプレス発表が行われた。発表者は東京が東京電力、名古屋が中部電力。両社は昨年、燃料・火力発電の包括的アライアンスに基本合意をしており、この日はその最終合意を発表する、はずだった。しかし、蓋を開けてみれば、発表されたのは四月に新会社を立ち上げるという合弁契約のみ。最終合意を見越していた電力業界関係者の多くは肩透かしを食らい、同時に「やはり」と思わず膝を叩いたことだろう。東電と中部電力のアライアンスはうまくいかない―電力業界では当初からこの見方が支配的だった。理由は二つ。一つは中部電力社内で繰り広げられる改革派と守旧派の派閥抗争、もう一つは中部電力という企業にべっとりと染み着いた〝地方企業臭〟だ。 東電との提携を阻む「地方企業臭」  そもそも中部電力とはどういう企業なのか。戦後の九電力体制、その後に沖縄電力を加えた十電力体制の中で、中部電力は一貫して三男坊の地位に甘んじてきた。三男とはいっても、長男が関東一円を管轄し政財界に発言力を持った東電、次男がそれに次ぐ影響力を誇った関西電力だったことを・・・

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