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連載

西風 406

外国人が押し寄せる意外な「大阪」

2015年3月号

 二月十九日の旧正月に合わせて、多くの中国人が日本に押し寄せた。大阪でも、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や大阪城公園で観光客がごったがえし、梅田にひしめくデパートはあの手この手で中国人を呼び込もうと躍起になった。  大阪市内に外国人観光客から支持される意外な場所がある。北区の市立「住まいのミュージアム」だ。大阪くらしの今昔館という名でビルの一角に入居する同館は二〇〇一年にオープンした。館内に江戸時代の大阪の街並みを再現してあるのだが、日本人には特に新鮮な場所ではない。  しかし、二〇一三年度の外国人入場者数は約六万一千人。今年度は十二月までにすでに八万一千人が外国から訪れているという。前述した街並みの常設展に限ると、外国人の割合は全入場者の四六%を占める。 「校外学習の小中学生を除けば、入場者の大半が外国人です」 こう話すのは同館の広報担当、曽我誠氏だ。子どもが姿を消す昼食時間の前後は、ほとんど外国人に占拠される。  外国人の来場者が増加したのは一一年から。この年、同館はなけなしの広報予算を使って、韓国、台湾、香港などの観光雑誌に広告を掲載・・・