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連載

続・不養生のすすめ51

低栄養とインフルエンザ死亡
柴田 博

2015年3月号

 インフルエンザが大流行している。筆者も週に二回ほど外来診療を担当しているが、それを実感している。現在は、鼻腔か口腔の粘液を採り、十分足らずでインフルエンザの型まで判定できるので、便利になったものである。

 インフルエンザは、罹った人に苦痛を与え、感染予防のため隔離しなければならない。多くの労働時間を奪うことになり、本人のみならず社会的な損失ももたらす。もっとも恐れられているのは、しばしば肺炎などを併発し死亡の原因となることである。今回は、近年のわが国のインフルエンザによる死亡の特徴について述べたいと思う。インフルエンザによる死亡については、さまざまな誤解が存在するからである。

 まず左ページの図を参照されたい。この図は、一九五一年から二〇〇九年まで、インフルエンザによる死亡率全体の中で六十五歳未満の死亡率がどのくらいの割合を示しているかを年を追って示したものである。この図にあるパンデミックは世界的な大流行のことである。HとかNとかは、ABCとあるインフルエンザウイルスの型のA型ウイルスの亜型のことなのでこの際無視してもらってよい。六十五歳未・・・