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社会・文化

巨額血税「浪費」のマイナンバー

大手IT企業が「談合」でぼろ儲け

2015年5月号

 四月に入り民放各局で「マイナンバー」を周知するCMが放映され始めた。十月には一人ひとりへの番号通知が始まり、来年一月からは個人番号の利用が開始される。悲願だった「国民総背番号制」の実現だが、早くも行く手には暗雲が垂れ込めている。儲かるのはITベンダーばかりという無駄な公共事業が動き始めた。  国内IT大手は、数年前までの逆風は幾分おさまり一息ついている。NECはかつて掲げた「二〇一二年度に売り上げ四兆円達成」という大風呂敷には遠く及ばぬ三兆円程度にとどまるものの、一四年三月期は営業、純利益で黒字転換する見通しだ。富士通は、増収増益を見込んでおり、売上高四兆八千億円と見積もる。これらは束の間の企業設備投資回復の徒花に過ぎない。そのことを誰よりも知っているのはITベンダー自身だが、業界には楽観ムードが漂っている。 「海外事業に展望があるわけでも、国内事業の収益が増加しているわけでもない。きたるマイナンバー・バブルに浮き足立っている」 大手五社で事実上の「談合」  法案成立時の一三年時点で三千億~五千億円と見込まれたシステム開発予算はすでに執行され始め・・・