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連載

Book Reviewing Globe 372

再び揺らぎ始めた「自由主義」

2015年5月号

Liberalism The Life of an Idea Edmund Fawcett Princeton University Press 2014 $35.00  二十一世紀に入ってから、自由主義が再び、大きな挑戦を受けている。9・11テロ後の個人の自由と国民の安全保障の緊張、イスラム神権主義の台頭、ロシアの民族ポピュリズム、中国の専制資本主義……そして、欧米諸国の、年金・医療費膨張による財政危機、シルバー民主主義の下での多数の専制、格差の拡大と国民の将来に対する自信の揺らぎが自由主義を内側から脅かしている。  しかし、そもそも自由主義とは何なのかを見据えないことには、自由主義の何が、どのように揺らいでいるのか、その意味は何なのか、を知ることは難しい。  自由主義とは社会の個々人の尊厳と権利を尊び、それを土台に社会と世界をつくる壮大な人類社会の夢と理念である。その源流は古代ギリシャ・ローマからルネサンスに求められるが、それが近代的な形を取って立ち現れたのは十九世紀に入ってからのことである。  十九世紀後、それはおそらく次の四つの時代を経て進化して・・・