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「アルカーイダ」がじわり復調

サウジと米国が勢力挽回を「支援」

2015年7月号

 国際テロ組織「アルカーイダ」が従来の反米一辺倒の戦略を変えて、新たな伸長を図っている。最近はイスラム過激派「イスラム国(IS)」に「最も凶悪なテロ組織」の呼称を奪われてきたが、米国の対IS戦争の間隙をついて、イエメンやシリアではむしろ米側に立つそぶりをして復調している。米国は遠からずISとアルカーイダの二正面作戦を迫られる可能性がある。  泥沼が続くイエメン紛争解決のため、六月中旬、スイス・ジュネーブで国連仲介の和平協議が始まった。ところが、米国の政府団は、ハディ政権の代表団を見て愕然とした。そこに、アルカーイダの重要人物が含まれていたからである。 男の名前は、アブデル・ワッハブ・フマイカニ。「慈善団体」を運営していることを隠れ蓑にして、アルカーイダへの資金供給役を担ってきた。二〇一二年にイエメンで頻発した自動車爆弾テロの背後にいるとされ、米財務省は二〇一三年に、フマイカニを経済制裁の対象に加えた。  こんな人物が、こともあろうにサウジアラビアが支援するハディ政権を、和平会議で代弁するというのだ。米政府は会議に先だって、「重大な懸念がある」と政府の代表団構成に疑念を表明・・・