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WORLD

「ギャング」が支配するギリシャ経済

国際支援も喰い荒らす「悪徳財閥」

2015年8月号

 崖っぷちで欧州連合(EU)の救済を受けたギリシャのチプラス政権が、国内の財閥(オリガルヒ)対策に苦闘している。財閥の大半は世襲の一族経営で、経済を牛耳るのみか、政治利権も独占し、債務で苦しむ国民を尻目に、私財を積み上げている。チプラス政権は今夏、財閥が支配する国内メディアの追及に乗り出した。  七月のギリシャは、五日の国民投票から、チプラス首相の方針転換、ギリシャ国会の審議まで、嵐のような十日間に揺れた。  その興奮が冷めやらぬ七月中旬、検察当局と議会任命のメディア調査委員会が突然、反チプラス系メディアの捜査に着手した。  対象は五日の国民投票前に、「賛成」への投票を主張したテレビ局と新聞各社だ。当局は「報道は極めて一方的で、偏向していた」として、反政府論調の各社を調べている。事情聴取された女性キャスターの一人は、「とんでもない言いがかり。こういう捜査こそ、報道への介入じゃないの?」と怒りをぶちまけた。  全国紙の編集幹部がこう解説する。「国内のメディアは数人の『ギャング』に牛耳られている。連中は国家の利権を握り、経済を支配する『オリガルヒ』だ」。ギリシャの財・・・