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中国「反日デモ」は当分起きない

「対日融和」に活路を見出したい習近平

2015年9月号

 安倍晋三首相は八月二十四日の参院予算委員会で、九月三日に予定されていた中国の抗日戦争勝利七十周年記念式典に「出席しない」と表明した。日本メディアの多くは同式典が「反日的」であることを理由として指摘したが、中国外務省は「今日の日本、日本人民に向けたものではない」と不快感を表明した。日中間の新たな火種ができたが、これで中国国内で反日感情が高まると考えるのは早計だ。 日本企業には「プラス」  南シナ海の埋め立て工事をなりふり構わず断行し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立をはじめ米国中心の国際経済秩序に挑戦する習近平政権。日本メディアが伝える対外強硬の表情だけを見ていては、十三億人を率いるリーダーの素顔に迫ることはできない。 「習近平は毛沢東をモデルとし、集権化によって中国共産党による独裁を徹底させようとしている」  北京の党幹部たちは口を揃える。習氏の政治スタイルは明確だ。では日本にとってどうなのか。公安当局者が興味深い分析をする。 「毛沢東ら強い指導者のもとでは反日デモは起きない。反日デモは民衆や党内不満分子の鬱憤をぶつけるはけ口になる・・・