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社会・文化

「睡眠不足」の日本人

老いも若きも「眠らない社会」の弊害

2015年10月号

「テンポがくずれ、音のバランスが狂うと甘い音楽も不快なもの。人の暮らしもおなじである」  今から約四百年前の時代を生きたシェイクスピアの名言である。我々は体に、「体内時計」を備えており、体温、血圧やホルモンなどの調整をしている。夜更かし、時差ぼけやシフト勤務などで、睡眠と覚醒のテンポがくずれると、体内時計のバランスが狂い、心や体の健康に様々な影響を及ぼす。  二〇一三年の全米睡眠財団による米国、カナダ、メキシコ、英国、ドイツ、日本の六カ国における、二十五〜五十五歳を対象とした調査によると、日本人が最も睡眠時間が少なく、平均六時間二十二分であった。 がんリスクまで高まる  日本人の睡眠不足は、人生の早い段階から始まる。競争社会に生きる日本の子どもたちは、早い場合、幼稚園や保育園に入る前から受験戦争が始まる。学校以外に学習塾に通い、宿題に追われ、さらに親からの圧力が加わり、十分な睡眠が取れない子どもは多い。オックスフォード大学の神経科学者、ラッセル・フォスター教授は、「睡眠は、脳の情報処理と記憶の定着に大切で、学習能力を高める。複雑な問題・・・