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WORLD

《世界のキーパーソン》ヴォルフガング・ポルシェ(ポルシェ社監査役会会長)

堕ちたVWの「救済」を支える

2015年10月号

 新車販売台数でトヨタと世界一を争う独フォルクスワーゲン(VW)が突然、奈落の底に落ちた。米国市場で販売する車の排ガス低減装置が、排ガス試験をする時だけフル稼働するという、会社挙げての違法な環境基準違反を犯し、経営危機に陥ったのである。

 未曽有の難局に、VWの筆頭株主ポルシェが乗り出した。新CEO(最高経営責任者)マティアス・ミュラーら、ポルシェの一族郎党が立て直しにあたる。

 七十二歳のヴォルフガングはポルシェ家当主。創業者フェルディナンドの孫で、二代目フェリーの四男。一族では「ボポ」の愛称で呼ばれる。「ポルシェ911」を生んだ長兄が二〇一二年に死去した後は、VWだけでなく独自動車業界の大立者になった。

 ボポ会長は二〇〇〇年代後半、同社の辣腕社長ウェンデリン・ヴィーデキングと名コンビだった。社長がある時「VWを買収しませんか?」と提案。何事にも鷹揚なボポは、「あちらは十五倍も大きいし、最初はどうかと思った」ものの、結局、いとこのフェルディナント・ピエヒ率いるVWの筆頭株主になった。その後、VWがポルシェを逆買収し、・・・