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TPPに押し潰される中国経済

「国家資本主義」の弱体化が加速

2015年11月号

 中国の七~九月期の実質国内総生産(GDP)伸び率は六・九%とついに七%を割った。「実際は三%前後」との指摘も現実味を感じるほど中国経済は落ち込んでいる。だが、そうした状況以上に中国指導部を悩ませているのが環太平洋経済連携協定(TPP)の合意だ。中国抜きで世界のGDPの四〇%超の経済圏ができれば、市場規模という中国唯一の魅力が失せるからだ。一方、TPPには中国が加盟すれば共産党一党独裁が危うくなる仕掛けもかけられている。中国にとってTPPは「入るも地獄、入らぬも地獄」なのである。  米アトランタでTPP交渉が延長に延長を重ねたうえで大筋合意してから二週間後の十月中旬。中国の習近平国家主席は訪問先の英国で大歓待を受け、相好を崩していた。中国にはない民主主義の殿堂である英国議会で演説を許され、中国が遺物として葬り去った王制の本拠、バッキンガム宮殿でエリザベス女王から公式晩餐会で遇されたからだ。  九月の訪米では表面的には厚遇されても、メディアも含め終始冷ややかな接遇だったのに比べ、習主席にとって英国の居心地がよかったことは表情に歴然と表れていた。今や中国にとっては「西の欧州こそ・・・

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