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中国に「傾斜」するインドネシア

新幹線受注「日本逆転負け」の裏事情

2015年11月号

 インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が任期二年目に入り、外交漂流が鮮明だ。伝統的な親日国ながら、高速鉄道建設では日本より中国を選び、東南アジア諸国連合(ASEAN)との乖離も目立つ。経済の苦境から中国の軌道にたぐり寄せられている形で、日本は強力な巻き返しが必要だ。  中国が逆転した高速鉄道について、インドネシア紙記者は、「ジョコ大統領とリニ・スマルノ国営企業相」をキーパーソンにあげた。「二人は与党・闘争民主党の党首であるメガワティ元大統領の影響力から離れたかった。中国はこの点を見逃さず、双方の急接近が実現した」というのが、日本敗北劇の真相だと言う。 親日のメガワティも沈黙  背景を掘り下げて見ていこう。ジョコは、インドネシア初の庶民派大統領として昨年十月、国民の高い人気と支持・期待を集めて船出した。ところが、スカルノ初代大統領の娘で、六十八歳のメガワティが党首として「院政」を振るおうと、何かと口を出してくる。  事情はリニ大臣にとっても同じだった。リニの父親はスカルノ政権下でインドネシア銀行総裁や財務相を務めた大物。彼女自身はヒラリー・クリントン・・・