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政治

「有言不実行」の安倍政治

安保と経済「騙されすぎ」の有権者

2015年11月号

 総理大臣に復帰して間もなく三年を迎える安倍晋三の政権運営に、ますます粗さが目立ってきた。  もともと、その場しのぎで政策や人事を変える傾向はあったものの、景気の回復基調と、民主党に対する有権者の強い不信が、下落してなお四〇%超の内閣支持率と、衆議院の六〇%以上を占める議席の維持を可能にしてきた。ところが、経済の先行き不透明感が増し、野党共闘の動きがクローズアップされるのに伴い、政権の弱点を隠してきた覆いが取れた結果、実現の見通しがないのに大見得を切り、器だけ作って魂を入れない安倍政治の「有言不実行」の本性が、露わになってきたのだ。 安保法制はすでに「お荷物」に  根拠の脆弱な希望的観測を語り、結果として国際社会に噓をついた状況になりつつあるのが、東京電力福島第一原子力発電所から漏れ出る汚染水処理の行方だ。  在京の欧州メディアの特派員は「汚染水問題は安倍政権に深刻な打撃を与えるはずなのに、日本では政治的影響があまり報じられていない」と首をかしげる。  二〇一三年のブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、安倍・・・