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連載

日本の科学アラカルト63

世界をリードする超小型人工衛星開発

2015年11月号

 昨年十二月に種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケット。搭載されていた小惑星探査機「はやぶさ2」は今、地球から遥か一千六百万キロ離れた宇宙空間を移動している。現在は太陽の裏側を回って、再び地球に向かって接近している最中だ。打ち上げからちょうど一年後の今年十二月三日、地球への最接近に合わせてエンジンを動かしてさらに加速、より遠くに飛ぶ「スイングバイ」を実施する予定である。十月五日、はやぶさ2が探査する小惑星に「Ryugu(リュウグウ)」という名称がつけられた。これまでは「1999 JU3」という無味乾燥な名前だった。はやぶさ2がRyuguに到達するのは、約三年も先の話だ。  一九九〇年代に失敗を重ねた日本の宇宙開発はこのところ順調だ。人工衛星打ち上げコストで世界水準に追い付こうと必死の模索を続けている。また、国際プロジェクトである国際宇宙ステーション(ISS)へ荷物を運搬する、HTV5(愛称:こうのとり)も八月に打ち上げられ、九月三十日に大気圏に再突入してミッションを終えた。ISSのライフライン確保の役割を確実に果たしている。  ISSについては賛否が分かれる。宇宙・・・